AJセミナー「多波長観測で探る星の最期」
概要: 宇宙は放射で満ちている。電波から可視光、赤外線、エックス線、ガンマ線に至るまで、人類の宇宙を見る目は絶えず広がりをみせ、宇宙の真の姿を明らかにしてきた、一方で、天文学の世界では、これら観測波長によって研究分野が分断され、各波長のみで捉える宇宙のみを対象とした研究が展開されてきた。本セミナーでは、これら各波長の観測データを組み合わせて、ひとつの天文現象を多角的にとらえる試み−多波長研究−について紹介する。具体的には、これまで連携がほぼ皆無であった電波とエックス線・ガンマ線観測データを組み合わせた研究成果を報告し、近代天文学100年来の謎とされた「宇宙線」の起源について論じる。そのほかにも、南米チリに設置された NANTEN2 電波望遠鏡を用いた観測や、そこでの生活についてなど、電波天文学者の日常を紹介する。さらに、現在進めている2件の学際研究の狙いや成果についても解説する。